碧潭看月

徒然なる言葉の羅列が意味を成すように見える、兼好法師も読んで呆れる駄文の数々。

「星の鼓動」とはなにか①

これは以前他所でまとめたものを改訂したものである。

 

<概要>

 「STAR BEAT!~ホシノコドウ~」の歌詞によれば、「星の鼓動」から生ずる音は以下の3条件を満たす。いわく、

 

1.常に聞こえる音

2.小さい音

3.星が巡り届ける音

 

である。戸山香澄の発言の文学性から、これらを特殊で固有の表現と捉えて考察し、「星の鼓動」の正体は戸山香澄の心臓の鼓動であると結論づけた。

 

<考察>

 戸山香澄は幼少時に初めて「星の鼓動」を感じたという描写がある。このとき彼女は満天の星空を仰ぎ見て、そして「星の鼓動」を聴いた。花咲女子学園高校周辺のモデル(いわゆる聖地)を参考とすれば彼女は都市中心部に居住しており、意識的に満天の星空を眺めるのは初めてだったと考えられる。これは「星の鼓動」が彼女の中に強く印象付けられていることで示せるだろう。我々が確認できない形で「星の鼓動」を初めて聴くための条件が限定されているのでなければ、一度目に満天の星空を眺めた時点でそれを聞いていないというのは無理があるからである。

 次に、彼女が「星の鼓動」を初めて感じた際の発言に注目すると、これを

 

「初めて感じたドキドキ」

 

と表現していることからわかるように、鼓動を「ドキドキ」ということばで表現することはできたが、鼓動という単語を知らなかったとおもわれる。このことから、彼女はこの「ドキドキ体験」の後に鼓動という言葉を学び、既存の感覚と結び付けていったといえる。

 以上から「星の鼓動」の名前の由来がわかる。「星の鼓動」は本当に鼓動そのものである。戸山香澄にとって鼓動は「ドキドキ」であり、その中には「星空を見たときのドキドキ」も当然含まれるからである。しかしここに問題がある。日常生活を送っていれば、ふつう鼓動は聞こえない。どうして星空を見ると鼓動が聞こえるのだろう。

 この解決策を、私は静寂とトランス状態に求めた。まず、満天の星空を眺められるようなところは清冽な空気に囲まれ人気が少ないので、比較的音が聞こえやすい。加えて、初めて満天の星空を眺めた彼女は感動し、ひととき意識が変性してトランス状態に入ったために鼓動が聞こえたのである。これは3条件にも矛盾しない。ひとつ「星が巡り届ける音」というのはわかりにくいが、星と鼓動が関連付けられている彼女にとっては当然ともいえる内容なのだ。